浮気相手にも慰謝料請求できる場合とは?

夫や妻が浮気(不貞)をしていたという場合,浮気相手への慰謝料請求も検討することと思います。

もっとも,浮気相手の請求は,必ずしも認められるわけではなく,相手からは様々な反論がなされることもあります。

この記事では,どのような場合に,浮気相手に対する慰謝料請求が認められるのか,どのような反論がなされることが多いのかについて,説明していきます。

浮気相手に不貞行為の認識があれば慰謝料を請求できる

夫(または妻)が不貞行為(異性との肉体関係)を行った場合,不貞行為を一緒に行った浮気相手も,一緒に妻の権利利益を侵害したとして,慰謝料支払いの義務を負うことになります。

ただし,慰謝料請求というのは,不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条,710条)です。不法行為が成立するのは,故意または過失があるときだけですので,もし,浮気相手が,あなたの夫(または妻)が既婚者であることを知らず,かつ知らなかったことに過失がないといえる場合には,慰謝料請求が認められないことになります。

すでに夫婦関係が破綻していた場合には慰謝料請求できない

判例においては,夫(または妻)が異性と肉体関係を持った場合に,浮気(不貞)相手に慰謝料を請求できるのは,“婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害する行為”であるといえる場合であるとされます(最高裁判所平成8年3月26日判決・民集第50巻4号993頁)。

肉体関係が持たれた時点で,すでに夫婦関係が破綻していたような場合には,もはや婚姻生活の平和の維持というような利益は存在しないといえるので,そのような場合には,不法行為は成立せず,浮気相手に対する慰謝料請求は認められないのです。

慰謝料請求には肉体関係を示す証拠が必要

相手が素直に非を認めて任意に支払う場合は別ですが,そうでない限り,慰謝料を請求するには,不貞行為があったことを証明するための証拠が必要になります。

不貞行為とは,簡単にいうと,妻や夫がいるにも関わらず他の異性と肉体関係を持つことです。ですから,不貞行為による慰謝料を請求するには,“肉体関係を持った”ということを示す証拠が必要となります。

不貞の相手(浮気相手)にだけ慰謝料を請求することもできる

配偶者に対しては慰謝料を請求することなく,浮気相手に対してだけ慰謝料を請求することも可能です。どちらか一方に請求するのも,両方に請求するのも,請求する側の自由です。

もっとも,受けた損害を超えて請求することはできませんので,一方からすべての慰謝料を受け取ったと評価されるような場合には,その後もう一方に請求するというようなことはできません(二重にもらえるわけではありません)。

なお,配偶者を許して,浮気相手にのみ慰謝料請求をして浮気相手が全額支払ったような場合浮気相手が,不貞行為を一緒に行った配偶者に対して,その配偶者の負担部分を支払えと求償してくる可能性はありますので,注意が必要です。

不貞の相手(浮気相手)からよくある反論とは?

不貞をしていない

まずは,不貞行為の事実がないのだという主張です。この主張を封じるためには,事実を否定できない程度の証拠を集めておく必要があります。

既婚者であると知らなかった

先ほど説明したように,既婚者であると知らず,知らなかったことに過失がないといえる場合には,慰謝料請求はできません

そのため,多くのケースで,“結婚している人だとは知らなかった”といった反論がなされます。

例えば,夫(妻)が,浮気相手に対して,“独身だ”,“すでに離婚している”などとうそをついていた場合などです。

ただ,状況からみて,既婚者だと気づかなかったことが浮気相手の不注意によるものであると判断されれば,「過失」が認められることになります。

夫婦関係がすでに破たんしていた

この点についても,先ほどの説明のように,すでに夫婦関係が破綻していた場合には,慰謝料請求できませんので,よくある反論です。

例えば,すでに別居をして離婚話をしていたなどといったことが主張されます。

もっとも,婚姻(夫婦)関係が破綻していたかどうかについては,慎重な判断がなされており,単に仲が悪かったなどというだけでは破綻と評価されることはほとんどありません。多くの場合は,実際に別居しているようなケースでなければ破綻は認められませんし,別居していたからといって必ずしも破綻と認められるわけでもありません

慰謝料請求を考えたら弁護士にご相談ください

このように,浮気相手に対する慰謝料請求については,配偶者に対する慰謝料請求とはまた違った注意点や考慮すべき点があります。

相手が素直に支払わない場合には,きちんとした交渉や裁判が必要になることがありますが,その場合,法的に正確な知識や経験が不可欠になりますので,弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

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