不倫の慰謝料は証拠がないともらえないの?慰謝料請求に必要な証拠とは?

あわざ総合法律事務所
代表弁護士 染川 智子 (そめかわ さとこ)

夫(または妻)が不倫をしている様子があるというとき,慰謝料請求ができるのかどうか気になられると思います。

この記事では,不倫を疑わせる事情があっても,証拠がなければ慰謝料の請求はできないのか?証拠が必要だとしてどのような証拠があればよいのか?などといった疑問に対して,解説していきます。

証拠がなくても請求自体は可能

慰謝料請求は,裁判で行わなければならないと決まっているものではありません。

通常は,まず,話し合いによる請求を行います。証拠がない場合でも,話し合いのなかで相手が不倫(不貞行為)を行ったことを認めて,任意に慰謝料を支払うということもあり得ます。

また,確実な証拠はなくても,メールのやり取りや領収書など,疑わしいと思わせるような証拠がある場合には,それらを相手に示すことで,相手が自ら不貞行為の事実を認めるという場合もあります

ですから,決定的な証拠がない場合でも,まずは請求をしてみるということは可能ですし,それが成功することもあります。なお,交渉によって慰謝料を支払わせるためには,弁護士にご依頼いただいて,弁護士から請求をすることが有益な場合も多いです。

裁判で慰謝料請求が認められるためには証拠が必要

もっとも,相手が任意に慰謝料を支払わない場合には,訴訟を提起して,裁判の中で裁判官に不貞行為があったという事実を認めてもらう必要があります。そのためには,不貞行為があったことを示す証拠が必要になります。

それでは,不貞行為を立証するためには,どのような証拠が必要になるのでしょうか。次の項目で,具体的に見ていきます。

不貞の慰謝料請求をするための証拠とは?

不貞行為とは何か

不貞行為とは,夫婦の一方が配偶者以外の者と肉体関係をもつことをいいます。通常,単なるデートやキスだけなどでは,不貞行為とはいえないのです。

ですから,不貞の慰謝料を請求するために証拠とは,肉体関係があったことを推認させるものでなければなりません。

どのようなものが証拠になるのか

肉体関係があったことを直接示すような,動画や写真が証拠としてあるというケースは多くはありません。

その場合は,ホテルに出入りしている様子を撮影した動画や写真肉体関係があったことを伺わせるような内容のラインやメールのやり取り(食事に行ったことなどがわかるだけでは不十分です),ラブホテルを利用したことを示すクレジットカードの明細や領収書配偶者本人や不倫の相手が肉体関係を認めた発言の録音GPSの記録などを組み合わせて,不貞行為があったことを立証していきます。場合によっては,探偵を利用して,その調査報告書を証拠とすることもあります。

注意点としては,例えば,ラインの履歴でもなんでもすべて写真(スクリーンショット)で残しておくこと,相手の話を録音する場合には,きちんと非を認めた内容のものを録音しておくことなどがあります。

証拠の収集はできるだけ早く

証拠の収集は,早めに行わなければなりません。場合によっては,手遅れになることがあります。

例えば,証拠を集め切る前に別居をしてしまって,証拠収集の術がなくなってしまうことがあります。また,時間が経てば経つほど,証拠が隠滅されてしまうリスクも高まります

手遅れになって後悔する前に,配偶者が不倫をしていると思ったら,できるだけ早く弁護士にご相談いただき,どのような証拠をどのようにして収集すべきなのかについてのアドバイスを受けられることをおすすめします。

慰謝料請求には時効がある

不貞の慰謝料請求は,不法行為に基づく損害賠償請求です。

不法行為に基づく損害賠償請求権は,「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは,時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも,同様とする。」と規定されています(民法724条)。

つまり,原則通りに考えると,不貞行為があったことを知ったときから3年間で時効によって慰謝料請求はできなくなるように思えます。実際,不貞相手の女性(男性)に対する慰謝料請求権は,その人が不貞相手であるとわかった時点から3年間で時効によって消滅します。

もっとも,夫婦間の慰謝料請求については,別に考慮しなければならないことがあります。民法159条は,「夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は,時効は,完成しない。」と規定しているのです。

したがって,離婚をしていない限り,3年を過ぎても,夫(または妻)に対しては,慰謝料請求をすることはできます。また,夫婦間での離婚に伴う慰謝料請求の場合は,離婚の時点を消滅時効の起算点とする考え方もありますので,いずれにしても,夫婦間に関しては,単純に3年間で時効消滅するとはいえません。

具体的に,まだ慰謝料請求ができるのかどうかについては,弁護士にご相談ください。

不倫の慰謝料請求を考えた場合は弁護士にご相談ください

このように,不貞行為を理由として慰謝料請求をする場合,裁判になれば,証拠が必要になります。どのような証拠が必要になるのか,どのようにして証拠を集めればよいのかは,個々のケースごとに弁護士のアドバイスを受けることが有益です。

また,決定的な証拠がない場合には,弁護士を通じて交渉を行うことで,裁判外で慰謝料を支払わせることができる可能性が高まります。

ですから,夫(妻)の不倫を疑った場合には,できるだけ早期に弁護士にご相談ください。

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