別居中の生活費を請求するには? 婚姻費用の相場とは

代表弁護士 染川 智子 (そめかわ さとこ)

別居をした場合でも,配偶者に対して生活費を請求できる場合があることをご存知でしょうか。

別居する場合には,その後の生活をどうするかが大きな問題となると思います。

ですから,生活費をもらえるのであれば,いくらもらえるのか?どのようにして請求すればよいのか?というのは,別居を検討している方にとって,大きな関心事であると思います。

この記事では,別居中の生活費を請求する方法,もらえる生活費の相場の考え方について,説明していきます。

生活費は別居中でももらうことができる

夫婦には,お互いの生活が同等のレベルになるように助け合う義務(「生活保持義務」)があります。このことは,夫婦である限り,別居をしていても,変わりません。

そのため,別居中でも,収入が多い方から少ない方に対して生活費を渡す義務があるのです。簡単にいうと,ここでの生活費のことを,「婚姻費用」といいます。婚姻費用には,衣食住の費用,出産費,医療費,未成熟子の養育費,教育費,交際費などが含まれます。

婚姻費用は算定表を基準に算定される

婚姻費用の金額は,裁判官らが作成した「算定表」という表を基準に算定されるのが基本です。

婚姻費用の算定表は,夫婦のみの場合と,未成年の子供がいる場合に分かれており,子供がいる場合の表は,子供の人数(1~3人)及び,年齢(0~14歳と15~19歳の2区分)に応じて分けられています。

算定表は,縦軸に婚姻費用を支払う側の年収が,横軸に支払を受ける側の年収がありますので,それぞれの金額を当てはめて,使用します。

例えば,妻の年収が0円,夫の年収が500万円で,3歳の子供を妻が監護しているような場合の婚姻費用の目安を算定表に当てはめて見てみると,月額8~10万円になります。

なお,この算定表は,絶対ではなく,個々の事情を考慮して,算定表の金額から増減されることがあり得ます。また,子供の人数が多かったり,年収が多かったりして,算定表に当てはめることができないケースもあります。そのような場合には,自分で算定するのは困難ですので,詳しいことは,弁護士にご相談いただいてアドバイスを受けることをおすすめします。

婚姻費用は離婚時までもらうことができる

それでは,婚姻費用は,いつからいつまでもらえるのでしょうか。

一般的に,婚姻費用分担義務の始期は,「請求時」とされています。ここにいう「請求」とは,婚姻費用分担調停を申し立てたとき,あるいは,内容証明などによって確定的に婚姻費用の分担を求める意思を表明したときとされることが多いです。

ですので,もれなく婚姻費用をもらうためには,別居後すぐに請求しなければなりません

そして,婚姻費用は,通常,離婚が成立するまでもらうことができます。離婚をするまでの間,先ほどの生活保持義務が存在するからです。なお,同居を再開して生活費を普通に分担できるようになった場合にも,別居時と同じような婚姻費用をもらうことはできなくなります。

別居の原因が自分にある場合請求できないこともある

例えば,別居の原因が主に自分の不貞行為にあるような場合(自分が有責配偶者である場合)には,婚姻費用の請求が認められないことがあります。自分で原因を作って別居に至ったにも関わらず,通常通りの婚姻費用を請求できるとするのは不公平であるという考え方があるからです。

もっとも,生活費を一切渡さないと有責配偶者の生活が困窮する場合などの事情がある場合には,例外的に,婚姻費用の請求が認められることもあり得ます。
また,請求できなくなるのは有責配偶者の生活費だけです。有責配偶者が未成年の子供を引き取って育てている場合には,その子供の養育費として必要な分は,別居の責任とは関係なく請求することができます

相手が支払いに応じない場合は調停を申し立てる

相手に婚姻費用の請求をして,任意に支払ってもらえればよいのですが,そうでない場合には,婚姻費用分担請求の調停を,家庭裁判所に申し立てる必要があります。

調停の中でも合意ができない場合には,自動的に審判手続が開始され,裁判官が,審判をすることになります。ですから,相手が拒否を続けても,最終的には,婚姻費用を支払わせることができます(審判の内容通りに支払われない場合には,お給料の差押えなども可能です)。

別居をする場合には弁護士にご相談ください

このように,別居をすると,収入の多い方に対して婚姻費用を請求することができます。ですが,婚姻費用分担義務の始期が請求時とされることが多いため,別居をするとすぐに適切な請求を行う必要がありますし,金額の算定等についても,法的な知識が必要となってくることがあります。
ですから,別居を検討しているような場合には,早めに弁護士にご相談いただき,別居後の生活費についてのアドバイスを受けられることをおすすめします。

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