DVやモラハラを原因として離婚する方法と慰謝料請求について
DVやモラハラの被害を受けている場合,離婚はできるのだろうか,慰謝料を請求することはできるのだろうかと悩まれている人も多いと思います。
このような被害を受けている場合には,事態の悪化を招かないためにも,できるだけ早く対処しなければなりません。
この記事では,そのような方に向けて,DVやモラハラで離婚する方法や,慰謝料請求について,説明していきます。
DVやモラハラは法定離婚事由に該当し得る
法定離婚事由とは,裁判で離婚請求が認められるために必要の事由のことです。民法770条1項各号に定められています。具体的には,以下のとおりです。
- 1.不貞行為(770条1項1号)
- 2.悪意の遺棄(同条項2号)
- 3.3年以上の生死不明(同条項3号)
- 4.強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと(同条項4号)
- 5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があること(同条項5号)
このなかに,DV(家庭内暴力)やモラハラ(モラルハラスメント)そのものが規定されているわけではないですが,DVやモラハラがあった場合には,「その他婚姻を継続し難い重大な事由があること」(同条項5号)に当たると判断される場合が多いのです。
そのため,DVやモラハラの存在を立証することができれば,その程度にもよりますが,相手が拒否したとしても離婚請求が認められる可能性が高いということになります。
DVやモラハラを受けた場合慰謝料を請求することができる
また,DVやモラハラがあったことを立証することができれば,慰謝料請求をすることもできます。
DVやモラハラは,犯罪にもなり得る不法行為ですし,夫婦関係を破綻させる原因にもなっているからです。
慰謝料の金額は,暴力や暴言の頻度や程度,受けた被害の大きさ,子供に与えた影響,婚姻期間などによって様々で,10万円のこともあれば,数百万円になることもあります。
DVやモラハラと評価されるのはどのような行為か
DVに当たる行為
DVとは,家庭内暴力のことです。多くの場合は,夫から妻への暴力ですが,逆のケースもあります。夫婦間で暴力があれば,それはDVに当たりますが,軽く一度だけなどの暴力の場合には,離婚原因として認められない可能性もあります。
裁判でDVの存在を認めてもらうためには,証拠が必要です。怪我の写真や診断書,日記や目撃者の証言,警察への通報,相談記録などが証拠となり得ます。
モラハラに当たる行為
モラハラ(モラルハラスメント)とは,簡単にいうと,日々の言動による精神的な暴力のことです。
例えば,日常的に罵倒をする,侮辱的な発言を繰り返す,粗暴な振る舞いを繰り返す,気に入らないことがあると無視を続ける,ひどい束縛などです。
DVの場合と同じく,裁判で認めてもらうためには証拠が必要ですが,モラハラの場合,DVとは異なり,怪我など客観的にその存在を示すものが残らないので,証拠の収集は簡単ではありません。
証拠となり得るのは,モラハラに当たるような発言の録音,そのような発言がLINEやメールであればその履歴,モラハラを受けた記録を細かに記載した日記,心療内科の診断書,目撃者の証言などです。
DVやモラハラはエスカレートしやすい傾向がある
DVやモラハラは,家庭の中で人の目に触れずに行われるもので,他人から指摘を受けるものでもありませんし,被害を受けている人が我慢をしてしまえば,どんどんエスカレートすることがあります。
ですから,DVやモラハラを受けている場合は,まずは別居を決行し,出来るだけ早く夫(妻)と離れてもらいたいと思います。
早めの相談で被害を最小限に抑えることができる
DVやモラハラの被害を受けている場合,1人で抱え込まずに出来るだけ早く弁護士にご相談ください。早く相手と離れなければ,相手の行為がエスカレートし,大きな怪我を負う結果になったり,精神的により深いダメージを受けたりするなど,被害が拡大することにもなりかねません。弁護士の適切なアドバイスを受けたうえで,別居に踏み切りましょう。
弁護士は,別居後の生活の再建についてのアドバイスもできます。また,相手に対して,婚姻費用分担請求(生活費の請求)を行うこともできます。
DV・モラハラの被害を受けているなら弁護士にご相談ください
別居後の離婚請求,慰謝料請求についても,弁護士にご依頼いただくことで,有利に進めることができます。
また,何より,このような被害にあわれている場合には,相手と直接離婚や離婚の際の条件などについて話し合うことは困難です。相手のことを怖いと感じている場合,対等に話し合うことは困難です。ですから,このようなケースでは,弁護士を代理人として間に入れることに大きなメリットがあります。弁護士にご依頼いただければ,相手との話は全て弁護士が代わって行い,もう直接相手とやり取りをする必要はなくなります。
ですから,できるだけ早期に弁護士にご相談,ご依頼いただくことを強くおすすめします。