離婚の問題を弁護士に依頼するメリットとは何か

代表弁護士染川智子 (そめかわさとこ)

離婚の問題で悩んだとき，弁護士に依頼した方がよいのかどうか，よくわからないと思われる人も多いと思います。夫婦の問題なのに，わざわざ他人にお願いする意味があるのかな？と考える人もいるかもしれません。

そこで，この記事では，離婚を考えてはいるが弁護士への相談を迷っているような人のために，離婚の問題を弁護士に依頼した場合に，どのようなメリットがあるのか，お話ししていきたいと思います。

有利な条件での離婚が可能になる

離婚の方法として，まずは，協議離婚が考えられます。調停や裁判を行わずに，お互いの話し合いによって離婚条件を決めて離婚をする方法です。

協議離婚の場合，裁判所を通さないので弁護士がいらないように思われるかもしれませんが，必ずしもそうとは限りません。離婚には，財産分与や養育費，慰謝料など，決めなければならないことがたくさんあります。法律のプロではない人が個人で話し合った場合，何が適切なのかわからず，不利な条件で合意してしまって後から後悔することも少なくありません。弁護士は，依頼者が適切かつ最大限有利な条件で離婚できるように，相手方との交渉を行ってくれます。また，弁護士が間に入って直接の話し合いを避けることで，冷静な話し合いが実現でき，スムーズに進む可能性も高まります。

調停や裁判になった場合も有利に進めることができる

裁判所における手続きである調停や裁判になった場合にも，弁護士がついている方が有利に進行できる可能性はかなり高まります。調停委員や裁判官に対して説得的に自分の主張を伝えるのは，専門家でない人にとって，並大抵のことではありません。自分1人で手続きを進めた場合，裁判所という雰囲気にプレッシャーや緊張を感じて，言いたいことが言えなくなる人が大半です。

弁護士は，依頼者の主張を適切に伝えるために書面を作成したり，調停に同席したりします。弁護士が同席していれば，自分の主張を代弁してもらえますし，弁護士に話をしやすいような雰囲気を作ってもらうこともできます。実は，調停委員にはいろいろな人がいて，心ないことを言ったり法的に間違った知識を伝えてきたりすることもあります。弁護士が一緒にいることで初めて，調停委員に対して自分の気持ちを伝えることができた，という人も多いのです。

ストレスが軽減されて，気持ちが楽になる

弁護士に依頼してしまえば，それ以降，相手と直接話をする必要は基本的になくなります。それまで，相手と顔を合わせること，話し合いをしなければならないことが非常にストレスになっていたような場合には，この点も，弁護士に依頼する大きなメリットになります。

また，弁護士は，離婚問題でなやんでいる人がとてもしんどい気持ちを抱えていることが多いということをよくわかっています。依頼者が話しやすい雰囲気を作り，よく話を聴いたうえで，丁寧なアドバイスをしてくれますし，大きな味方になってくれます。そのため，これまで1人で悩みを抱えこんできたような人にとっては，弁護士に相談・依頼することで，気持ちがとても楽になるということも非常に多いのです。

離婚が成立した後のトラブル予防にも役立つ

弁護士に依頼することなく協議離婚をした場合，離婚届以外特に何も書面などを作成しないことも多いと思います。また，作成したとしても，法律的には不足するものであることもよくあります。しかし，それでは，せっかく離婚が成立したと思っても，後から，財産分与や慰謝料の問題が再燃してきたり，あるいは，支払うと約束されていた養育費が支払われなくて困ったりといったトラブルが生じることが十分にあり得ます。

弁護士が間に入った場合には，種々の問題について後からトラブルにならないか確認したうえで話を進めてくれますし，離婚成立の際には，離婚協議書などの書面を作成し，トラブルを防止してくれます。また，場合によっては，公正証書を作成し，養育費などの支払いが滞った場合に強制執行できるように準備をしておくこともあります。