【不倫の慰謝料請求をされたらまずは弁護士に相談を】対処方法や減額方法は?

あわざ総合法律事務所
代表弁護士 染川 智子 (そめかわ さとこ)

配偶者のある人と不倫関係に陥ってしまい、慰謝料を請求された場合、パニックになってしまうことも多いと思います。

ですが、請求されている金額は不当に高額な場合も多いですし、事情によっては、支払い義務を負わないこともありますので、いったん冷静になり、適切な対処方法をとることが大切です。

ここでは、不倫の慰謝料を請求された場合の対処方法について、説明していきます。

請求が不当に高額な場合、応じる必要はない

不倫の慰謝料の金額の相場は、だいたい50万円~300万円などと言われています。実際には、この幅を大きく超えた金額の慰謝料請求がされることも多いのですが、そのような請求にそのまま応じる必要はありません。高額の請求がされたことに慌てて、支払うことを約束してしまうというようなことは絶対に避けましょう。

不倫の慰謝料が減額される場合とは

慰謝料の金額には、だいたいの相場はありますが、最終的な金額は、個々のケースによって様々です。

慰謝料が増額されるような事情もあれば、減額方向に働く事情もあるのです。減額される場合について、例を挙げてみます。

  • 婚姻期間が短い場合
  • 不貞行為が継続された期間が短い、肉体関係を持った回数が少ない場合
  • 配偶者にも落ち度がある場合

その他にも、慰謝料の増額事由、減額事由は色々あります。多くの裁判例に当たるなどして個人が判断するのはほとんど不可能ですから、専門家である弁護士にご相談ください。

不倫の慰謝料支払い義務が発生しない場合もある

また、妻(夫)のいる人と肉体関係を持つに至っても,慰謝料の支払い義務自体が発生しない場合もあります。以下のような場合です。

1 不貞行為が行われた時点で、すでに夫婦関係が破綻していたような場合

判例(最高裁平成8年3月26日判決・最高裁判所民事判例集50巻4号993頁)によると、“夫が第三者と肉体関係を持った場合において、それが妻に対する不法行為となるのは、それが婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、妻にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないから、右第三者は妻に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。”とされています。

つまり、肉体関係を持つ前から夫婦関係が破綻していた場合には、慰謝料請求権は発生しないのです。

例えば、夫婦が別居していて、すでに離婚の話し合いがもたれていたようなケースです。ただし、夫婦関係が破綻していたということの主張・立証は容易ではありません。

2 相手が既婚者だと知らず、知らなかったことに過失がない場合

慰謝料請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権)の発生には、「故意」または「過失」が必要です。不倫の慰謝料請求の場合、相手が既婚者であると知っていた(故意)か、知らなかったとしてもそのことについて過失がなかったかという場合には、慰謝料の支払い義務はありません

3 慰謝料請求権が消滅時効にかかっている

慰謝料請求権は、被害者(妻または夫)が不貞行為があったことや不貞相手が誰なのかを知ったときから3年間を経過すると、消滅時効にかかります(ただし、時効の起算点については別の見解も存在します)。ですから、3年以上前のできごとについての慰謝料請求がなされた場合には、支払い義務があることを認めてしまわずに、時効消滅していると反論すべきです。

◆不倫の慰謝料を請求された際に確認すべきこと

証拠の確認

不倫の慰謝料請求が裁判で認められるためには、証拠が必要です。

慰謝料請求を受けた場合、相手がどのような証拠を持っているのかを確認してみましょう。証拠がなさそうな場合には、相手が知っている事情以上に必要以上にこちらから非を具体的に認めるような対応をする必要はありません

請求金額の妥当性の確認

先ほど説明したように、不当に高額な請求には応じる必要はありません

具体的なケースにおいて、どの程度の金額が妥当かは、法的な知識と経験がなければ判断は難しいと思いますので、弁護士にアドバイスを受け、金額の妥当性を判断してもらうことをおすすめします。

不倫の慰謝料請求には冷静に対応しましょう

このように、配偶者のいる人と肉体関係を持ったからといって、必ずしも慰謝料を支払わなければならないわけではありませんし、請求金額が不当なこともあります。

ですから、不倫の慰謝料請求を受けた場合、すぐに認めるような言動をしたり、支払いの約束をしてしまったりするのではなく、一度冷静になって、請求の内容を確認し、自分が支払い義務を負うケースなのかどうか、どの程度の金額を支払うのが妥当なのかについて、判断する時間を持つことが大切です。

請求を受けたことで慌ててしまい、とっさに対応をしてしまうと取り返しのつかないことになることもありますので、十分な注意が必要です。

不倫の慰謝料請求を受けたら弁護士にご相談ください

このように、慰謝料請求を受けた場合には、まず冷静になって、自己判断で対応してしまう前に、できるだけ早く弁護士にご相談いただく必要があります。

弁護士にご依頼いただくことで、慰謝料の金額を大幅に減額できたり、場合によっては、支払わなくてもよいことになったりするケースもあります。

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